将来、いつまでにどのくらいの資産を築きたいか目標を立てることは大切です。
投資をする場合に、その計画のもととなるのは『利回り』と『時間』です。
どれくらいの運用利回りで、どのくらいの時間を運用に当てるかで将来の資産がおおよそ決まってきます。
でもその計算って結構やっかいですよね。
例えば元金100万円で利回り7%の投資商品を購入し、15年間複利で運用した場合を計算すると、
100万円 ✕(1+0.07)15 = 276 万円
電卓じゃ簡単に計算できないよ“悲”!
毎回この計算をしてたら、投資計画を立てるのが嫌になっちゃいます。
そこで便利なのが『72』の法則です。
この法則は『利回り』(複利)から、資産が2倍になる『期間』を簡単に計算できます。
『70の法則』もありますが同じことを意味し、単に概算による誤差の違いで表現が異なります。
その他にも次のような法則があります。
法則 | 資産倍数 | 購入方法 | 利息 |
---|---|---|---|
『72』 | 2倍 | 一括 | 複利 |
『100』 | 2倍 | 一括 | 単利 |
『115』 | 3倍 | 一括 | 複利 |
『126』 | 2倍 | 積立 | 複利 |
『126』の法則発案者:慶応義塾大学理工学部 枇々木規雄教授
これらの法則の利用には、「平均利回り(%)」を使用します。
平均利回りがマイナス(-)の場合は成立しませんのでご注意下さい。
全部の法則を覚えるには苦労しますので、この記事では主に『72』と『126』の法則について詳しく説明します。後半には『115』を追加し、応用編として使える3つの簡略的な関係性も解説します。
目次 閉じる
『72』の法則
『72』の法則の条件は先の表より資産2倍、一括購入、複利です。
計算式は、
運用利回り(%) ✕ 運用期間(年) = 72
『運用利回り』と『運用期間』を掛けた答えが「72」となれば、資産2倍となる組合せということです。
たとえば本記事のタイトル「7.2 ✕ 10」も計算結果は「72」です。
つまり利回り7.2%で運用すると、運用期間10年で資産が2倍になります。
逆に利回り10%で期間7.2年でも同じように資産2倍となる解です。
では実際どういう使い方が多いかというと、利回りの値を使って、どれくらいの期間でお金が2倍になるかを計算します。
例えば利回り12%の商品が何年で2倍になるか知りたい場合は、『72』を『利回り』で割って
72 ÷ 12 = 6
つまり6年でお金が2倍になると分かります。
ちなみに大手銀行の定期預金だと金利0.002%なので2倍になるまで
72 ÷ 0.002 = 3万6000年
な~んか、宇宙のかなたまで飛んで行けちゃいそうですね~
答えを求めるときに、掛け算の組合せを見つける方が簡単なのか、それとも割り算の方が計算しやすいのかは好みがありますので、自分のやりやすい方で求めてみて下さい。
『126』の法則
『126』の法則の条件は、資産2倍、積立購入、複利です。
『72』の法則との違いは、『72』が一括購入、『126』が毎月の積立購入という違いになります。
運用利回り(%) ✕ 運用期間(年) = 126
『72』と『126』を比べると分かりますが、初期投資が多いとその分、資産が増えるスピードも速くなります。
この法則で利回り12%の商品が何年で2倍になるか知りたい場合は、『126』を『利回り』で割って
126 ÷ 12 = 10.5
つまり10年と半年でお金が2倍になります。
ただ『126』の法則の注意点としては、毎月の積立額を「定額」と仮定している点です。
つまり『定額で積立てた資金』が2倍になる期間を計算しています。
なので「ボーナス月はちょっと多目に」となると、この法則ではお役に立てませんのでご容赦ください。
『72』の法則の応用
法則はたくさんあって、その数字を覚えるだけでもちょっと大変です。
なので「72」の法則だけを覚えて、あとはそれを応用して算出する簡単な方法を解説します。
『126』の法則を使わず計算
積立てた場合の解を、より正確に出したいのであれば、『72』の法則で出た答えを1.75倍します。すると『126』の答えが出てきます。
でも「1.75」って数字は覚えにくいし、簡単には計算できません。
そこで、きっぱり諦めて ざっくりとしたイメージだけをつかむと割り切ってしまえば、『期間』を「2」倍するでOKです。
ちょっと誤差はありますが、おおよそをつかむには、
2倍して、それよりちょっと少ないくらい
で考えると簡単になります。
『115』の法則を使わず計算
もう1つ『115』の法則は、条件が資産3倍、一括購入、複利です。
『72』の法則で出た答えを「1.59」倍すると答えが出てきます。
もう細かいことは気にせずに「1.5」倍で計算しましょう。
まとめ
A(利回り)✕ B(期間)= 72とおくと簡略的に次のように整理できます。
法則 | 資産倍数 | 利回り | 期間 |
---|---|---|---|
『72』 | 2倍 | A | B |
『115』 | 3倍 | A | B✕1.5 |
『126』 | 2倍 | A | B✕2 |
(※『126』の法則のみ購入は積立)
これをイメージしておけば『72』の法則を覚えるだけで、一括もしくは積立購入で複利運用した場合の資産が2倍もしくは3倍となる期間をおおよそ計算できます。
利回りを計算したい場合は、BではなくAの値を1.5倍もしくは2倍します
どんな利回りの商品を選んで、どのくらいの期間で資産を増やしたいかをざっくりですが簡単に計画することができます。
ぜひ活用してみて下さい。