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【投資の基礎知識】投資信託はトータルリターンでみる~利率や利回りとの違いは?

投資信託を購入するときの判断材料としても重要視されるのがトータルリターン。

ただ色々調べていると「利率」や「利回り」という似たような言葉も出てくるため混乱してしまいます。

ネット上でもお金に関する情報が様々に解説されていますが、これらの言葉をごちゃ混ぜにして説明している内容も見られます。

また商品によって表現は異なるのですが、その数値も似てるようで違っています。

投資を分かりやすく理解するためにも、これらの言葉を整理しておきましょう。

利率とは

単利複利などがあり、預けた金融商品に対して1年間につく決まった利息の割合。金利とも言われる。

>>預金債券で使用される。

トータルリターンとは

売却したときに購入金額(元手)から純粋に増減した収益。

(売却価格)+(分配金)-(購入金額)

これを%表示する場合は、(購入金額)で割って100をかけます。

1年間の年率で、複利換算して表現されることもある

>>主に投資信託で使用される。

利回りとは

ある期間の収益を元本で割った利益率を、1年単位に換算した割合

トータルリターンの%表示と同じと考えて差し支えない。

ただしトータルリターンで使用する『購入金額』ではなく、『元本』を使って計算しているため、状況により不都合が生じるので、基本、投資信託では使用しない

>>不動産投資債券などで使用される。

株式は基本的には株価で示されますが、その株価の過去/現在の比較で%表示が使用されます。株式配当については利回りで表現されます。

利率や金利とは、自分のお金を他人に預けたり商品に換えたりした場合に、その資産に対して1年間につく利息の割合のことです。

金利には利息の付き方の違いで単利複利があり、どちらもある一定の利率利息が増えていきます。

単利とは

元本のみに利息がつく方式

n年後の資産を式で表すと、

元本 ✕ (1+利率 ✕ n年)

複利とは

元本と利息の合計(元本+利息)に対して利息がつく方式

n年後の資産を式で表すと、「元本 ✕ (1+利率)

単利は直線的に、複利は放物線を描いて増えていきます。

預金債券はこの利率で表現されます。

トータルリターンとは、売却時に得た総額から購入金額を引いた金額です。つまり単純に最終損益額です。

株式にも不動産にも使用されず、基本的には投資信託の損益を表現するためのものと言っても過言ではありません

後で説明しますが、投資信託を利回りで表した場合に生じる不都合を解消するため、トータルリターンで表示することが義務化されました。

式で表現すると、

(売却価格)+(分配金)-(購入金額)

となります。

トータルリターンに関係する要素は3つあると言われ、その3つとは分配金基準価格(暴落額)運用コストです。

上式の(売却価格)は、基準価格や運用コストなどを含めて算出した最終的な金額です。

次で分配金、基準価格(暴落額)、運用コストを簡単に説明します。

分配金配当金と混同してしまいますが、実は全く異なります。違いは以下の通りです。

商品支払元収入源税金
分配金投資信託商品運用会社運用益や元本一部非課税
配当金株式株式会社企業の利益の一部課税対象

投資信託において、運用益を還元するため商品運用会社から投資家に支払われるお金のことを、分配金と言います。

投資信託では定期的に分配金として支払われる場合と、支払われずに再投資される場合があります。再投資とは、分配金として支払われなかった運用益でさらに商品を追加購入することです。

この分配金を受取るか再投資するかは、購入時に選択できます。

さらに『分配金なし』という商品も存在しますが、運用益は発生し、分配金で受取る選択肢がなく、自動的に再投資されるものです。

現時点の商品の価格。購入/売却時に基準となる1万口あたりの価格です。

購入時にかかる購入時手数料、保有中にかかる信託報酬、解約時にかかる信託財産留保額などの手数料です。

基本的な考え方としては、トータルリターンと同じと考えて差し支えありません

ただしトータルリターンとの主な相違点としては、計算するときに、トータルリターンでは『売却価格』を使用するのに対して、利回りでは『元本』を使用するという点です。

利回りは不動産などで利益を計算する際によく使用されますが、投資信託で使用すると不都合が生じるため、投資信託では利回りを使用せず、トータルリターンで表現されるようになりました。

その不都合とは、投資信託で行われる分配金再投資特別分配金が関係しています。それを次で説明します。

利回りでは計算に元本を使用します。このため、投資信託の分配金再投資特別分配金という制度では、損益を計算するときに不都合が生じます。

投資信託の運用利益から支払われる分配金ですが、先にも説明したように随時支払われる場合と、支払われずに再投資される場合があります。

問題となるのは再投資の場合で、再投資されるとその都度元本が増えていき、その増えた元本を基準に利回りの計算がされるため、利益率が下がり損益計算がおかしくなります。

分配金には普通分配金特別分配金があります。特別分配金を受取る場合、利回りの損益計算に不都合が生じます。

種類収入源税金
普通分配金投資信託の運用課税
特別分配金投資家の投資元本非課税

普通分配金

普通分配金とは、投資信託の運用によって得た利益を投資家に支払うお金です。運用益なので分配金を受取る場合、20.315%の税金が差し引かれます。

特別分配金

特別分配金とは、元本払戻金とも呼ばれます。

支払う分配金に対して、その分配金に見合う利益が得られなかった場合、不足分元本から取り崩して補填します

例えば基準価格1000円の商品を購入し、1年後の運用益60円、分配金が100円とすると、不足分の40円は元本から支払われるため、基準価格が960円となります。

特別分配金は元本から支払われるため、税金はかかりません。

貰えた分配金の分だけ儲かった気がしますが見せかけだけ利益であり、実際は元本が減っているためそれほど儲かっていません。

投資信託特有の分配金再投資や特別分配金などにより、利回り計算だと元本が変わり不都合が生じるため、投資信託ではトータルリターンで表示することが義務化されています

よく出てくるけど誤解を招きやすい3つの表現『利率』、『トータルリターン』、『利回り』ですが、まとめると以下です。

利率トータル
リターン
利回り価格
預金・債券
投資信託
不動産
株式配当金のみ〇

株式では配当金を配当利回りで表現しますが、基本は株価です。

どれか1つに統一してほしい~

慣れるまでは結構ややこしいですね。

なので、これらの違いはなんとなく程度で覚えておけば良いと思います。