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扶養控除で節税対策|サラリーマン向け控除から投資優遇制度までを詳しく解説

節税の定義は、『税務制度にのっとって合法的に税金の額を減らす』ことです。

個人事業主であれば経費を申告して節税できますが、サラリーマンができる節税は何があるでしょう?

残念ながらサラリーマンが実践できる節税は、本当に限られています。

ただそのなかでも、条件が合えば積極的にやりたい節税対策の1つがコレです。

サラリーマンが追加でできる節税
  • 扶養控除(一般/特定/老人)

扶養控除は、条件を満たす場合、年間約10万円の税額軽減につながる可能性があります。

『控除』とは、税金を計算する過程で、収入額から差し引いてくれる値引きのようなものです。

扶養控除にはいくつかの誤解があり、申請を断念する人もいますが、実際には活用できる人は結構います。

たとえば離れて生活している祖父母や子も対象で、その対象者に収入があっても条件の範囲内であれば控除を受けられます。また確定申告をする必要がなく、年末調整で簡単に申請できます。

次に費用が発生した場合に利用したい控除制度は、次の2つです。

サラリーマンがやっておきたい控除
  • 住宅ローン控除
  • 医療費控除 or セルフメディケーション税制

一般的なサラリーマンが取り組める主な節税はこの辺りです。どの控除を受けるにしても、一定の条件を満たす必要があります。

そこでこれとは別に、サラリーマンでも積極的に利用して節税できる制度を、追加で紹介します。それが次の3つです。

寄付・投資に関わる節税制度
  1. ふるさと納税
  2. iDeCoやDC(確定拠出年金)
  3. NISA

これらを駆使すれば収入にもよりますが、サラリーマンでも年間何十万円と節税できる可能性があります。

この記事では特に扶養控除について詳しく解説し、その他の制度についても節税に焦点を当て、基本的な情報をご紹介します。

まずは、サラリーマンが利用できる税額控除制度の全体像から見ていきましょう。

重要なのは、いかに『給料として受け取る前に控除を受ける』かです。

小さいところからコツコツと積み重ねていくことが、とても大事となります。

ただサラリーマンは個人事業主と違って、ほとんど経費を計上できないため、節税対策は本当に限られています。

ただ全く節税ができない訳ではなく、その限られたなかでも次のようなものがあります。

『おすすめ度』欄に書かれた英文字は、以下の評価基準で付けています。

  • S:サラリーマン節税のおすすめ
  • A:サラリーマンはほとんど実施済み
  • B:申告の手間と費用対効果で判断が必要
  • C:特別な条件下のみで利用可
項目おすすめ度年末
調整
特定
条件
配偶者扶養控除対応
生命保険控除対応
扶養控除対応有り
住宅ローン控除対応有り
セルフメディケーション
税制
確定申告
医療費控除確定申告
特定支出控除C確定申告有り
寡婦、ひとり親控除C確定申告有り
雑損控除確定申告有り
不動産・投資赤字確定申告有り

「おすすめ度:A」の配偶者扶養控除や生命保険控除をもし受けていないという方は、勤務先の年末調整で簡単に処理できるため、必ず手続きしましょう。

特に生命保険控除を申請していない方がたまにいますが、申請の手間が少なく、費用対効果が大きいので必ず申請しましょう。

「おすすめ度:C」は、ある特定の条件に見舞われた場合の控除で、通常は利用できません。また、どれも個人で確定申告が必要となります。これらの解説は下の「✚」をクリックして下さい。

交通費、転居費、資格取得費などで会社から支払われず自腹を切った金額に対して控除され、税金を減らせる制度です。

会社から業務上必要と認める証明書が必要で、かつ必要経費が給与所得控除額の50%を超えていなければならず、控除を受けるためには非常にハードルが高いです。

配偶者が離婚や死別した場合に控除され、税金を減らせる制度です。

自宅での災害や盗難の被害にあった場合に控除され、税金を減らせる制度です。

不動産や株取引などで損失が出た場合に控除され、税金を減らせる制度です。

では本題であるサラリーマンでも実践できる節税対策について解説していきます。

サラリーマンが追加でできる節税で残ったのは、扶養控除住宅ローン控除医療費控除(またはメディケーション税制)の3つです。

それでは、費用対効果の高い順に説明していきます。

この扶養控除は、配偶者ではなく子どもや祖父母を養ったり、仕送り等の資金援助をしている場合に税金が免除されます。

税務上の扶養控除の要件は以下の4つです。

  1. 配偶者以外の16歳以上の親族(6親等内の血族及び3親等内の姻族)であること
  2. 生計を一にしていること
  3. 合計所得金額が48万円以下であること
  4. 事業専従者ではないこと

受けられる控除額は、条件により以下の金額となります。

区分住民税
控除額
所得税
控除額
一般の扶養控除
(16歳以上70歳未満
の特定扶養親族除く)
33万円38万円
特定扶養控除
(19歳以上23歳未満)
45万円63万円
老人扶養控除
(70歳以上)
同居45万円58万円
同居以外38万円48万円

住民税と所得税の違いで控除額が異なりますが、それぞれから控除されます。

次にこの制度についてよくある誤解を解説します。今まで諦めていた方も活用できるかもしれないので、あらためて確認してみましょう。

扶養親族は子どもだけ?

扶養対象は子どもだけでなく、2親等の孫や祖父母も扶養の対象です。

扶養親族は同居してないとダメ?

「生計を一としていること」という条件がありますが、同居していない以下の人も対象となります。

  • 常に仕送りをしている親元を離れ一人暮らしの子供
  • 常に仕送りをしている故郷に暮らす祖父母

仕送り額の目安は38万円

年間38万円以上の仕送りをしていれば控除が受けられます。

合計所得金額48万円以下は年収入合計ではない

扶養対象者の条件である合計所得金額48万円以下は収入と誤解されますが、収入金額ではありません。合計所得金額とは、収入から必要経費(給与所得控除)を差引いた額です。

条件にもよりますが、最低給与所得控除額55万円なので、アルバイトなどの年間収入が48+55=103万円以内であれば扶養の対象となります。

年金受給者は対象外?

年金を受給していても、条件を満たせば扶養控除の対象となります

年金受給者の場合、先の給与所得控除ではなく公的年金等控除額が適用され、その控除額は65歳未満では60万円、65歳以上は110万円となります。

整理すると年金収入のみの場合65歳未満では108万円(=48+60)、65歳以上は158万円(=48+110)までの年金収入であれば対象となります。(48万円は先の合計所得金額)

通常はここまででと思われますが、さらに年金とは別に収入がある場合に限り、ここに所得控除55万円を上乗せできます。

つまり年金受給者でかつ収入がある場合でも、年金とその他の収入を含めた額が、65歳未満は163万円以下(=108+55)、65歳以上は213万円以下(=158+55)であれば扶養の対象となります。

ここでの給与所得控除や公的年金等控除は、サラリーマンである「あなた」ではなく扶養者の収入に関する控除であり、扶養者に該当するかを判定するためのものです。サラリーマンの給料から引く扶養控除額(上表)とは違うので、混同しないよう注意下さい。

確定申告や仕送り証明は必要ない

サラリーマンは会社で行う源泉徴収で処理できます。(間に合わなければ確定申告でもOK)

基本、仕送り証明は必要ありません。

ただし、会社から請求された場合には提出が必要です。

もし会社から請求されても提出できるように、仕送りの場合は銀行通帳などに記録を残しておくと安心です。

ネット銀行を利用すれば振込み手数料0円があるため、手数料も節約でき、記録も管理できます。

所得控除でいくらお得

税金が免除される金額を、『同居していない70歳以上の老人扶養』を例に計算してみます。

仮に所得税率が20%とすると、

扶養控除額は所得税:48万円、

      住民税:38万円なので

(所得税)48万円 ✕ 20%=9.6万円

(住民税)38万円 ✕ 10%=3.8万円

控除額合計 9.6+3.8=13.4万円

ざっくりですが年間13.4万円の節税効果があります。Youtubeがあったので参考にしてみて下さい。

サラリーマンが実践できる節税対策の2つ目は、住宅ローン控除です。

居住用の新築や中古住宅の購入、住んでいる家のリフォームなどで住宅ローンを借入すると、住宅ローン控除を受けることができます。

所得税額から控除されるため、節税効果としては大きくなります。(詳しくは税金のために働いている?を参考)

ローン残高の0.7%の金額が所得税額から差引かれ、この控除は13年間受けることができます。

ただ1年目のみ確定申告が必要です。2年目以降は確定申告の必要はなく、年末調整で申請が済みます。

控除率0.7%は、現在の住宅ローン変動金利より低いか同じくらいのため、利息分を丸々負担してもらえるイメージです。

セルフメディケーション税制は健康増進維持や病気予防のため自主服役を推進する制度です。

年間12,000円を超えた分が所得から控除され、上限88,000円まで控除されます。

一方、医療費控除は支払額が10万円を超えると、その超えた金額が医療費控除として所得から控除されます。

ただ医療費控除と併せて利用することはできません

なので、医療費が188,000円を超えるまではセルフメディケーション税制を利用し、それを超えるのであれば医療費控除を選択した方が有利となります。

この控除を受けるには、利用した全てのレシートや領収書を保存しておき、確定申告が必要です。

上で説明した節税とは少し異なる、制度を利用した3つの節税対策を簡単に説明します。

何度も繰返して申し訳ないですが、節税で重要なのは『給料として受け取る前に控除を受ける』ことです。

NISAについては給料として受取った後のお金を運用します。一方、iDeCoとふるさと納税は、給料として受け取る前のお金に対して税金が控除されるため、節税効果としてはNISAより優秀です。

お住いの地域以外へ寄付(納税)することで、代わりにその地域の特産物や商品など(返礼品)が貰える制度です。

寄付したお金は既に税金を支払ったものとして、翌年の6月以降に住民税から減額されます。税金の前払いのようなものです。

節税効果としては、結果として税金として引かれる前のお金で寄付できることと、税金を前払いするだけで特産品などが受け取れるという点です。

注意点としては以下の2つです。

注意点
  • 税金の支払いとは別に2000円だけ自己負担として支払う必要がある
  • 収入など人によって寄付金額の上限が違う

先払いした金額の3~8割程度の価格の特産品が貰えるため、利用しない手はないです。

ふるさと納税の詳細については、『ふるさと納税』がお得をご覧ください。

仕組みを簡単に言えば、老後に備えて投資をする制度です。

以下の3つの節税効果があります。

  • 税金を引かれる前のお金で投資商品を購入できる(投資資金増)
  • 購入資金分が所得から引き算されるため、その分だけ税金が安くなる(収入増)
  • 投資運用で得た利益も控除を受けられる(利益増)

投資リスクや60歳まで受取れないなどのデメリットがありますが、よく理解して活用すれば、それを上回るメリットがあります。

「老後資金はこれだけ!あとのお金は自由に使う」と割り切れば、気持ち的にも利用しやすくなります。

iDeCoの詳細については、『iDeCo』がお得をご覧ください。

NISAは投資を促す制度です。

給与収入に対して税金を減らす効果はありませんが、投資で得た利益にかかる20%の税金が免除されます。

また、つみたて投資枠では売買手数料が無料など特典があります。

節税対策としては少し意味合いが異なるかもしれませんが、ぜひ活用したい制度です。

NISAの詳細については、『新NISA』がお得をご覧ください。

サラリーマンでも利用できる節税項目としては10項目くらいあります。

ただ冒頭にも言ったように、そのうち活用できそうな節税対策はとても限られ、利用するには特定の条件が必要となります。

おすすめの扶養控除も、同居以外であれば年間最低38万円の仕送り金額が必要です。

しかし、「実家に帰ればご馳走を出してくれる」や「孫におもちゃを買ってくれる」と思えば、その仕送りは将来の自分に還元されます。また子供への仕送りに対しても同様です。

それぞれの節税対策についても、じっくり考え、将来的に有効な節税対策を実践していきましょう。