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NISA「つみたて投資枠」で買えるETFは8つだけ|特徴と活用法を解説

NISA(少額投資非課税制度)のつみたて投資枠で購入できるのは、非上場の投資信託だけではありません。実は、ETF(上場投資信託)も購入できることをご存じでしょうか。

ただし、非上場の投資信託とは異なり、購入できるETFの数は限られています。現時点でつみたて投資枠で買えるETFは8種類のみとなっています。

成長投資枠では買っているけど

つみたて投資枠はどうやって買うの?

本記事では、これら8つのETFの選び方や買い方のポイント、投資信託(非上場)との違い、さらにETFをつみたて投資枠で運用するための戦略について解説していきます。

なお、ETF(上場投資信託)も非上場投資信託もどちらも投資信託ですが、本記事では説明を簡略化するため、「投資信託」という表現は非上場投資信託を指すものとします。

NISAのつみたて投資枠で購入できるETFは、以下の8つに限定されています。

証券会社でETFを検索する場合、扱いは株式と同じなので、投資信託のような便利な検索システムがないことがほとんどです。

ETFを検索する場合は、銘柄検索に、上表にも記載の『銘柄コード』を入力して検索するのが最も早くて簡単です。

これら8つのETFの特徴を、次の4項目について見ていきましょう。(この情報は2024年9月1日時点のものです。)

  • ベンチマーク(連動指数)
  • 取引金額(株価)
  • 信託報酬
  • 分配金(金額、利回り、年間支払回数)

8つのETFのベンチマークは、次の通りです。

主要な指数をバランス良く

カバーしている感じ

そうですね。

ただ純資産総額の小さい

ETFが少し気になります。

ベンチマーク(連動指数)の概略は以下の通りです。

ETFの買付けは1株単位で行われ、取引金額は株価と同じです。

ETFは東京証券取引所で直接取引できる商品で、株式と同様に扱われます。

取引金額である株価は、一部の投資信託の購入価格のように一律ではなく、リアルタイムに変動します。

証券会社によっては毎月積立コースの金額指定もできますが、指定した金額が株価に満たない場合、注文は成立しません

1株単位か~

投資信託なら100円で買えるのに

投資信託と比べると、

購入単価が高くなりますね

運用手数料である信託報酬について見ていきましょう。

ETF種類信託報酬 (%)
iシェアーズ・コアS&P 500 ETF0.066
iFreeETF JPX 日経4000.18
iFreeETF TOPIX(年1回決算型)0.06
iFreeETF 日経225(年1 回決算型)0.12
上場インデックスファンド
米国株式(S&P500)  
 
0.16
上場インデックスファンド
世界株式(MSCI ACWI)除く日本  
0.15
上場インデックスファンド
海外先進国株式(MSCI-KOKUSAI) 
 
0.26
上場インデックスファンド
海外新興国株式(MSCIエマージング) 
0.26

参考として、業界最安値をうたうeMAXIS Slimシリーズ(投資信託)の信託報酬を示します。

eMAXIS Slimシリーズ信託報酬 (%)
eMAXIS Slim 国内株式(日経平均)0.143
eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX)0.143
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)0.09372
eMAXIS Slim 全世界株式
(オールカントリー)
0.05775
eMAXIS Slim 新興国インデックス0.1518

ETFと投資信託の

どちらも信託報酬は安いな~

実質コストで考えると、ETF

の方が若干安くなる傾向です。

新NISAが始まり、ファンドの最安値競争が過熱したお陰で、投資信託の信託報酬はかなりお安くなっています。

上表からも、ETFとeMAX Slimシリーズの投資信託を比較して、その信託報酬金額が良い勝負なのが分かります。

ただどちらの商品にも、信託報酬以外に隠れコストというものが存在します。信託報酬に隠れコストを加えた手数料を実質コストと言います。

この実質コストがファンドの全運用手数料です。

証券会社での手間がかかる投資信託の方が、ETFに比べて実質コストが高くなる傾向にあります。

つまり多くの場合、若干ですが実質コストはETFの方が安くなり、この差が長期運用で有利に働きます。

ETFでは分配金が受け取れます。

NISAは長期運用が目的であるため、分配金の支払回数が多いファンドは敬遠される傾向にあります。

そのためか、選定されている8つのETFの配当金の支払回数は年2回が最大となっています。

配当月の前の月が配当金の権利確定月となります。

8つのETFはすべて

分配金が受け取れるんだね

NISAで購入するので、受取る

分配金には税金が掛かりません。

NISAでETFを購入する最大のメリットは、この分配金に掛かる税金(約20%)が免除されることです。

NISAのつみたて投資枠で、ETF(上場投資信託)を購入するべきか迷う方も多いでしょう。

それぞれの商品の特徴を理解することで、自分の投資スタイルに合った選択ができます。

ここででは、ETFと投資信託との比較をもとに、それぞれのメリットとデメリットを整理していきます。

低コストで運用できる

ETFの信託報酬(運用管理費用)は一般的に投資信託よりも低いため、長期運用の場合、よりコストを抑えることができます。

指定価格での取引が可能

ETFは株式と同様に証券取引所で取引され、取引時間中はリアルタイムで価格が変動します。注文は即座に成立するため、希望の価格で売買できます。

高い流動性

ETFは取引時間中であれば即座に注文が成立するため、投資信託と比べて必要な時にすぐに資金を引き出しやすいです。

分配金が受け取れる

つみたて投資枠の全てのETFで分配金が受け取れます。NISAであるため分配金に掛かる税金は免除されます。

また国内ETFであるため、外国税も課されません。

売買時に手数料がかかる場合がある

ETFは証券取引所で取引されるため、売買時に証券会社の取引手数料が発生することがあります。

ただしSBI証券や楽天証券など、NISAで購入するETFの売買手数料を0円(無料)としている証券会社もあります。

市場価格の変動リスク(常時変動)

投資信託の取引価格は1日1回しか変動しませんが、ETFはリアルタイムで価格が変動します。そのため、短期的な価格変動にさらされやすく、相場の急激な変動時には大きな損失を被る可能性があります。

例えば、念のために逆指値注文を行っていると、一瞬の大きな変動によって、予期せぬタイミングで売買が成立する恐れがあります。

分配金の再投資が手動

分配金が支払われた際、それを再投資するには自分で購入手続きを行う必要があり、手間がかかる場合があります。

一方、投資信託の場合は分配金再投資を選択できる商品があり、自動で再投資を行ってくれます。

成長投資枠向き、最低取引価格が高い

ETFは最低取引単位が1株単位であるため、株価での取引となります。100円から取引可能な投資信託と比べると、購入単価が大きくなります。

また株価は変動するため端数が出やすく、ほとんどの場合、つみたて投資枠をきっちり埋めることができません。

これらのメリットとデメリットを考慮し、自身の投資目的や運用スタイルに合わせてETFと投資信託を選択することが重要です。

NISAのつみたて投資枠では、非上場の投資信託だけでなく、8種類の上場投資信託(ETF)が購入可能です。

  • 低コストで運用可能
  • リアルタイムでの売買が可能
  • 高い流動性
  • 分配金が非課税で受け取れる
  • 売買手数料がかかる場合がある
  • 価格変動リスクが高い
  • 分配金の再投資は手動
  • 最低取引価格が投資信託より高い
  • ETFは一般的に信託報酬が低い
  • 投資信託は少額から購入可能
  • 投資信託は分配金の自動再投資が可能な商品がある
  • 自身の投資目的や運用スタイルに合わせて選ぶ
  • 長期投資を考えている場合はETFのコスト面でのメリットが大きい
  • 少額から始めたい場合は投資信託が適している

NISAは長期運用が前提の制度です。ETFでも投資信託でも、キャピタルゲイン(基準価格の上昇による売却益)を得る目的は同じです。2つの違いは、運用過程で現れます。

つみたて投資枠でETFを購入する主なメリットは、以下の2つに集約されます。

  • 分配金が非課税で受け取れる
  • 運用手数料が低く、長期投資に有利

一方でネックとなるのが、最低取引価格が高く、少額投資や細かな金額調整が難しい点です。

現在、つみたて投資枠で選択できるETFの数は限られています。しかし、この状況は今後改善される可能性が高いと考えられます。

そのため、今すぐに購入を急ぐのではなく、しばらく様子を見るというのも1つの選択肢です。

自分の投資目的やリスク許容度に合った商品を選び、焦らず、じっくりと長期投資を楽しみながら資産を増やしていきましょう。