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投資の本質とは?隣の人からお金をもらう仕組み【資本主義と格差のメカニズム】

物価や税金が上がり、働けど働けど生活が楽になりません。何とかしたいと考える人も少なくありません。

しかし収入を増やすと言っても、そんな簡単にできるものではありません。そんなとき、皆さん一度はこう考えたことはないでしょうか。

お金持ちからちょっとでも、お金をお裾分けしてもらいたい...

大金を持ってるなら、ちょっとくらい

くれても気にならないでしょう

1万円を持っていたら1円くらいあげても気にならないように、100億円を持ってる人は100万円くらいどうってことないと思ってしまいます。しかし、タダでもらえるほど世の中は甘くありません。

でも実は、資本主義社会では合法的にお裾分けしてもらう方法が存在します。その方法が『投資』です。

やぱり投資か~

多くの人は投資に対して「ギャンブル」というネガティブなイメージを持っているかもしれません。しかし資本主義社会において投資とは、リスクを分かち合うことで、お金持ちから利益をお裾分けしてもえる正当な手段の1つです。

成功者の経済活動に協力すると

リスクに応じて見返りがもらえます

これを次のように表現できます。

資本主義経済は、リスクを分かち合った参加者に、そのリスクに応じて成果を分配する仕組みである

またもっと突き詰めると、特に株式投資などは次の結論に達します。

投資とは、隣りの人からお金をもらっている

隣りの人から???と唐突に究極的な表現になったので何のことかさっぱり不明ですが、これついては後ほど詳しく説明します。隣りの人というのが親しい人であれば何か申し訳ない気にもなりますが、これが資本主義の真実です。

参加者には富を分かち合い、不参加者からは富を回収する社会ということです。

資本主義における利益分配の仕組みや利益の源(みなもと)、そこまから生まれる格差について、その本質に迫っていきます。

多くの人が「大金持ち」というと、豪邸に住み贅沢な暮らしをしている人を想像するかもしれません。しかし、投資の文脈で考えるべき「大金持ち」とは、必ずしもそのようなステレオタイプな富裕層だけを指すわけではありません。

本来、自分がお金持ちになる道を歩めば早道かもしれませんが、なかなかそうもいきません。

まず大金持ちとはどんな人たちか探ってみましょう。投資対象にできるか否かで、以下の2種類のお金持ちに分類できます。

投資対象となる大金持ち
  • ビジネスの成功者
  • 安定成長している老舗企業
  • 不動産会社
  • 石油王など
投資対象とならない大金持ち
  • 株式を多く保有する大株主
  • 個人の不動産保有者
  • 国際的な著名人(芸能、スポーツ、政治家)
  • 高額相続人

このような人々を目指そうとすると、知識や資金、それに運や実力も必要です。その分リスクも大きく、簡単に目指せるものではありません。

目指すことは良いですが、まずは資金を貯めることから始めましょう。資本主義社会では、成功者とリスクを共有することで、利益をお裾分けしてもらえます。それが投資です。

資本主義経済を学ぶためにも投資を活用するべきです。ただし、先に挙げた大金持ちのうち、投資でお裾分けしてもらえるのは最初に挙げた「投資対象となる大金持ち」からです。

主に株式や社債などの投資により、経済活動に参加・協力することで利益の一部を還元してもらえます。

さらに、最も身近な「大金持ち」の一つが「国(国家)」です。国債という形で、私たちから投資を募っています。

国は以下のような形で富を生み出しています。

  • 国民から税金の徴収
  • 国債発行による資金調達

集めた資金は、以下のように活用されます。

  • インフラ整備による経済活動の活性化
  • 教育システムの提供による人材育成
  • 社会保障制度の運営による安定した社会の維持
  • 研究開発支援による技術革新の促進

国債を購入することで、国の経済活動に参加し、その成果の一部を利子という形で受け取ることができます。これはまさに資本主義社会における富の再分配の一例といえます。

資本主義の活動において重要なのは、「大金持ち」が単にお金を持っているだけでなく、そのお金を活用して社会に価値を生み出すことです。資産を貯めるだけでなく、社会に循環させているかどうかが重要です。

さらに重要なのは、お金持ちだけでなく、われわれ一般の人々も同じことをする必要があるということです。投資とは、このような価値創造のプロセスに参加することで、リスクに応じた見返りを得る仕組みです。

つまり投資を通じた富の再分配は、単なる「お金持ちからお金をもらう」という表面的なものではなく、社会の価値創造活動への参加を通じた、より本質的な経済活動といえるでしょう。

資本主義社会で富の再分配を受けるには、リスクを共有する必要があります。では具体的に、このリスクとはどのようなものなのでしょうか。また、なぜリスクを取ることで利益を得られるのでしょうか。

投資におけるリスクとは、単なる「損をする可能性」だけを指すものではありません。むしろ、事業や経済活動の「不確実性」を指します。

例えば、以下のようなものがリスクとして挙げられます:

  • 新規事業が成功するかどうかわからない不確実性
  • 既存事業の収益が安定して続くかどうかの不確実性
  • 社会環境や経済環境の変化による不確実性
  • 技術革新による産業構造の変化

このような不確実性は、誰にも正確には予測できません。大企業でも、新規事業に失敗することは珍しくありません。逆に、誰も予想していなかったベンチャー企業が大成功を収めることもあります。

つまり、投資家は資金を提供することで、この「誰にもわからない未来」に対するリスクを、事業者と共に背負うことになります。

では、なぜリスクを共有することで利益が得られるのでしょうか。

それは、多くの人がリスクを取りたがらないからです。多くの人は、安定した給与収入を好み、リスクを避けます。しかし、誰かがリスクを取らなければ、新しい価値は生まれません。

リスクを取ることで得られる利益には、主に以下のようなものがあります。

  • 株式投資による配当金や値上がり益
  • 債券投資による利子収入
  • 不動産投資による賃料収入
  • 事業投資による事業収益の一部

これらの利益は、リスクを取った見返りとして得られるものです。言い換えれば、社会の価値創造に参加するための「入場料」としてリスクを取り、その見返りとして利益の一部を受け取る仕組みが投資なのです。

重要なのは、このリスクの共有が一方的なものではないということです。事業者側も、投資家からの資金提供がなければ、新しい挑戦ができません。投資家と事業者は、お互いに支え合う関係にあります。

これが資本主義社会における基本的な仕組みです。単にお金を持っているだけでは、価値は生まれません。

リスクを恐れずに資金を社会に循環させることで、はじめて新しい価値が生まれ、その果実を皆で分け合うことができるのです。

資本主義社会において、お金持ちや大企業はどのように収益を得ているのでしょうか。私たちの日常生活と、彼らの収益獲得の仕組みには、実は密接な関係があります。

お金持ちや企業が収益を得る主な方法として、以下のようなものが例として挙げられます。

  • 製品やサービスの販売による利益
  • 特許や知的財産権からのライセンス収入
  • フランチャイズ展開によるロイヤリティ収入
  • 不動産賃貸からの賃料収入

ここで重要なのは、これらの収益のほとんどが、私たち一般消費者の日常的な経済活動から生まれているということです。例えば:

  • スーパーで買い物をする → 小売企業の収益
  • 電車に乗る → 鉄道会社の収益
  • スマートフォンを使う → 通信会社とメーカーの収益
  • 家賃を払う → 不動産所有者の収益

さらに驚くべきことに、これら全てに必ずといって良いほど皆さんもご存じの企業が関わっています。

特に現代社会では、私たちは知らず知らずのうちに、大手IT企業にお金を払っています。特に聞いたことがあるのはGAFAM(ガーファム)などで、そのうちの2社を例にすると:

Googleの場合

  • 検索エンジンの利用(広告収入)
  • Androidスマートフォンの利用
  • YouTubeの利用

Microsoftの場合

  • Windowsの利用
  • Office製品の利用
  • クラウドサービスAzure

これらの主力サービスは、私たちの生活に不可欠なものとなっており、使わないという選択肢すら難しいものとなっています。その結果、私たちは意識する or しないに関わらず、これらの企業の収益に貢献しています。

たとえ直接的な料金を支払っていなくても、広告収入や個人情報の提供という形で、間接的に対価を支払っているのです。そして、これらの支払いが世界中から集まることで、大企業は巨額の収益を上げることができます。

このように、現代の資本主義社会では、私たちの日常生活のあらゆる場面で、お金持ちや大企業の収益創出に関わっています。決して遠い世界の出来事ではなく、私たち自身の経済活動が、彼らの収益の源泉となります。

しかし、これは必ずしも悪いことではありません。なぜなら、これらの企業は私たちの生活を便利にする製品やサービスを提供し、技術革新を進めているからです。さらに、投資を通じて、私たちもその収益の一部を受け取ることができます。

投資による利益獲得の仕組みについて、私たちの日常的な消費活動と関連付けて考えてみましょう。投資で得られる利益には、自分が支払ったお金の一部と、他の人が支払ったお金の一部が含まれています。

私たちは日々の生活の中で、さまざまな製品やサービスにお金を使っています。その使ったお金の一部を、投資を通じて取り戻すことができます。

たとえば、ある企業の株主になることで、自分がその企業に支払った商品代金や利用料の一部が、配当金という形で還元されます。これは商品を買う側(消費者)である一方で、企業の所有者(投資家)としても利益を受け取るという、一種の「還流」の仕組みといえます。

消費者としてお金を支払いながら、同時に投資家として企業の利益を受け取る。この仕組みを活用することで、日々の生活で使うお金の一部を取り戻すことができるのです。

投資の面白い点は、自分が支払ったお金だけでなく、投資をしていない他の人々が支払ったお金からも利益を得られることです。

企業は株主に対して、売上から得た利益の一部を配当金として分配します。この売上は、世界中の消費者が支払ったお金の総額です。つまり投資家は、自分が支払った金額に関係なく、企業全体の収益から利益を受け取ることができます。

投資することで実現できることは?

  1. 自分が企業に支払ったお金の一部を取り戻せる
  2. 他の人々が支払ったお金からも利益を得られる
  3. より多くの人が利用する企業に投資するほど、得られる利益も大きくなる

これが「隣りの人からお金をもらう」という表現の本質です。決して隣人から直接お金をもらうわけではなく、企業活動を通じて、社会全体の経済活動の成果を分け合うという仕組みなのです。

このように、投資とは単なるギャンブルではなく、社会の経済活動に参加し、その果実を分け合う合理的な仕組みといえます。自分が支払ったお金の一部を取り戻しながら、同時に他の人々の経済活動からも利益を得られる、それが投資による利益獲得の本質なのです。

経済評論家の山崎元さんの著書『経済評論家の父から息子への手紙』に次のようなことが書かれています。

資本主義経済は、リスクを取りたくない人間から、リスクを取ってもいい人間が利益を吸い上げるようにできている

これはリスクを取る側が、リスクを避けたい人々の資産から生まれる価値の一部を、様々な形で獲得できる仕組みになっていると捉えることができます。

今回、『隣りの人からお金をもらっている』と究極的な表現をしていますが本質は同じと考えています。

この仕組みは、必然的に社会に格差を生み出します。そのメカニズムとは、

  1. リスクを取った人が成功すると、より多くの富を獲得できる
  2. 獲得した富で新たな投資が可能になり、さらなる利益を得られる
  3. この循環が続くことで、富の差が徐々に広がっていく

このように経済活動に参加するかしないかが大きな分かれ道です。

しかし先に説明したように、投資を通じて、誰もが企業活動から生まれる利益の一部を受け取ることができます。投資には経済成長の果実をみんなで分かち合える仕組みが組み込まれているのです。

ただ全ての人がリスクを取るべきかというと、そうではありません。リスクを取らない選択も、十分に理にかなった判断です。社会には、リスクを取らずに着実に働き、経済を支える人々も必要です。

また単純に「リスクを取るか取らないか」だけの問題でもありません。「リスクを取りたくても取れない」状況にある人々も少なからずいて、教育機会や経済状況など、その背景は様々です。

資本主義社会で大切なのは、この仕組みを否定するのではなく、その特徴を理解し、より公平な形で活用していく方法を考えることです。そして、投資はその一つの手段であり、誰もが自由に参加できる入り口なのです。

資本主義社会における投資について、その本質に迫って解説してきました。重要なポイントを整理します。

資本主義社会における投資とは

  • お金持ち(企業や国)の経済活動に参加する手段
  • 自分が払ったお金の一部を回収できる
  • 他人が払ったお金からも利益を獲得できる

投資で得られる利益の本質は

  • 企業活動から生まれる利益の一部を受け取ること
  • リスクを共有した対価として受け取ること
  • 経済成長の果実を分け合う仕組み

格差社会における投資の位置付け

  • 投資を通じて誰でも参加可能
  • 参加するかどうかは個人の自由意思
  • リスクを取らない選択肢も尊重

投資も短期売買や身の丈を超える大金で行えばギャンブル的な性格が表れますが、本質は社会の価値創造に参加し、その成果を分け合う合理的な経済活動です。一方、ギャンブルには、参加者に利益を分け与える要素はありません。

この資本主義社会における仕組みを理解した上で、自分に合った形で投資と向き合うことが重要です。