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ローン変動金利とNISAのメリットを最大限に生かす|金利変動に備える資産防衛策

日銀の政策金利上昇により、住宅ローンの変動金利の今後について不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。金利が上がるたびに、固定金利への借り換えや繰り上げ返済を検討される方も少なくありません。

どうすれば日々の悩みを解消し、快適な生活を送れるのでしょうか。その悩みを解消する意外な方法があります。

それは『何もしない』という選択です。

そんな!

他人事みたいに無責任な~

ここでいう「何もしない」とは、住宅ローンの返済方法を変更せず、むしろその資金を活用して資産形成を目指す方法です。

住宅ローンを固定金利か変動金利のどちらで借り入れた方がお得なのかは、誰にも分かりません

ただはっきり言えることは、日銀の政策金利がどうであれ、低金利時代に住宅ローンを借りれたことは大正解だということです。

この記事では、住宅ローンと今後どう向き合うべきか、そして資産形成にどう活用していくことが最善なのか、具体的なメリット・デメリットを交えながら解説していきます。

先にも述べましたが、固定金利であれ変動金利であれ、低金利の住宅ローンを借り入れたことは大正解です

なぜなら本当であれば、数十年の先でしか手に入らなかったマイホームを既に手に入れ、お金だけでなく時間までお得にゲットしているからです。

しかも低金利で。

更には、インフレ対策にもなっています。

年を重ねる毎に、物の価値は上昇しますが、既にマイホームを購入した方は、一番価格が安い時期に買い、利息も最小限に抑えられています。

住宅ローンは低金利でお金 ✕ 時間を割安に得られる、夢を叶える魔法です。であれば、この素晴らしい住宅ローンを、もっと最大限に活用しようというのが、ここでの提案です。

具体的には、変動金利にNISAという投資を掛け合わせる方法です。低金利で借りた住宅ローンのお陰で、余剰資金を作りやすくなっています。

ならばその資金で、ローンの利息以上の利益を獲得すれば、更なるお得となります。繰上げ返済や借り換え手数料で無くなろうとしていた資金が、将来の子供の養育費老後の生活資金に生まれ変わります

そんな確実に儲かる方法があるの?

100%儲かる方法は詐欺です。ですが、ある程度のリスクを受け入れることで、それに見合うリターンを得ることは可能です。

投資には必ずリスクが生じます。同じように住宅ローンでも金利変動やインフレなどのリスクがあり、それを受け入れたため「お金✕時間」を獲得できたのです。

住宅ローンを借りた理由をもう一度思い出してみましょう。

多くの方の場合、手元に家を買う資金がないけど、将来ではなく今、マイホームが欲しいため、住宅ローンを組んで購入したのだと思います。

つまり以下のメリットを得ています。

  • 手元に無かった資金が得られる
  • 資金を稼ぐ時間を省略できる
  • 他のローンと比較して(超)低金利
  • 余剰資金が生まれる

冒頭でも言ったように、住宅ローンによって時間✕お金が得られます。低金利の住宅ローンを返済するより、逆にできるだけ返さず長く借りた方が、当初の目的を達成できます。

たとえ、それが変動金利だとしてもです。なぜなら住宅ローンは他のローンと違って超低金利なので金利が上昇しても、やはり低金利には変わりありません。

一方で繰上げ返済とは、せっかく大きなお金長い時間を獲得したのに、それを返却しているに過ぎません。

ただやはり多くの人は借金が嫌いですし、変動金利だと支払いが増えていくという不安があります。

ならばその不安を解消できれば、繰り上げて返済せずに住宅ローンを最大限に活用できます。

そこで取り上げるのが、NISA(ニーサ)を使ってインデックス投資信託を運用する方法です。

この投資によるメリットとデメリットは以下の通りです。

投資を掛け合わせるメリット
  • 低金利の住宅ローンを最大限活用
  • 手元に資金を残せる
  • 将来に向けた資産形成
  • 変動金利上昇以上の利益
投資を掛け合わせるデメリット
  • 損益がマイナスとなる可能性がある
  • ローン金利の利率の方が高くなる
  • 投資利益には税金が課される
  • 手間がかかる
  • 日々値動きがあるため精神的に負担

これらのメリット、デメリットですがNISAを活用することで、メリットはさらに拡充し、デメリットのいくつかは解消します。

これについて、このあと説明していきます。

その前に固定金利への借り換えや繰上げ返済に関する悩ましい問題点を解説していきます。

変動金利から固定金利へ借り換えを考えている方も多いと思います。でもこの作業はとても難しく、よほどの知識や判断力が無いとはっきり言って『無理』という対応です。

そこらへんの難しさを順に解説します。

日銀の政策金利の操作により、金利が上昇していきますが、変動金利と固定金利の上昇は同時ではありません。

まず上昇するのは長期の固定金利です。変動金利が上がり始めるのは、しばらく時間が経ってからです。現在の市場でも、固定金利は既に上昇している一方で、変動金利はむしろ下がっています。

であれば今、借り換えるべきかというと、そうとも言い切れません。今後、変動金利は上昇するかもしれませんが、今の固定金利まで上昇するか分かりません。

たとえ変動金利が上昇しても、現在の固定金利よりは低く、やっぱり変動金利がお得かもしれません。

この見極めは、金融のプロでも決定的な判断を下すことは難しいのです。

市場の未来の金利を言い当てることは誰にもできません。固定金利への変更には見極め以上に度胸が必要となります。

先で解説しましたが、金利の動向はプロでも読めません…

もし強い意志をもって借り換えができたとします。しかしそのタイミングは、いつがベストでしょうか。

借り換えのタイミングは、変動金利が上がり出す前だと、その後、変動金利はそこまで上がらなかった…となるかもしれません。また変動金利が上がり始めてからでは変更が遅過ぎて、高い固定金利で契約してしまうことになりかねません。

どちらにしろ適切なタイミングで借り換えをしないと、意図に反して支払額が増えてしまいます。

タイミングを見計らうのことが重要ですが、そのタイミングは一か八かになる可能性が高いのです。

借り換えのベストなタイミングは、ゼロ金利やマイナス金利政策時もしくはそれに近い時期です。
もしそうであれば、借り換えできる人は既にやっている状況です。

変動金利から固定金利へ借り換えを行う場合、別の新しいローンになるため手数料が発生します。具体的には保証料、事務手数料、登記関連費用などで、すべて足し合わせると数十万円となります。

また返済期間によって金利が変わってくるため、しっかりとした事前調査が必要です。

それらの総コスト上昇する変動金利を比較し、借り換えが経済的に合理的かどうか、難しい見極めを行う必要があります。

次に繰上げ返済ですが、返済によって返済期間が短かくなります。そのため利息が減少し、トータルの支払い金額が減少するというメリットがあります。

ただデメリットも存在します。メリットとデメリットを比較して、お得でないと意味がありません。ここでは見落としがちなデメリットについて説明します。

貯めたお金で繰上げ返済をして、住宅ローンの利息額を減らすことができます。

ただその分、手持ちの資金が減ります。不測の事態や急な支払いが必要になったときの余剰資金が減ってしまいます。

緊急時のお金は

既に確保しているから大丈夫!

住宅ローンは冒頭で説明したとおり、お金✕時間を割安に得られる魔法です。

魔法で得られたお金で、急な出費だけでなく、旅行やスキルアップも満喫できます。なのに、それをわざわざ返却してしまうということです。

住宅ローンの毎月の返済は大変ですが、考え方を変えれば、その返済額しか必要ないのです。家賃を支払いながら、住宅購入資金を貯める必要がなくなります。

つまり毎月返済した残りの余剰資金で、旅行や好きなものを買ったり、生活を充実させることができます。

なのに、それをあまり効率の良くない繰上げ返済に充てるのは、どうでしょう。

では実際に繰上げ返済で、どれくらいの負担が減るか見てみましょう。

たとえば借入金額3000万円、借入期間30年、変動金利0.5%で借り入れをして、返済期間が残り25年のとき100万円の繰上げ返済をしたと仮定します。ざっとシミュレーションすると軽減利息額は13万円です。

手元資金100万円を使って、残り25年で得する金額が13万円ということになります。

もちろんその後、金利が上昇すれば、この得する金額は増えていきます。ただし100万円で有効な時間を過ごせるのに、それを失って25年後の十数万円を得ていることになります。

住宅ローンとは資金が足りない状態から大金を借入れる、つまり資金を小→大として家を購入します。

では繰上げ返済するとは、どういう状態かというと、単純にその逆で大→小の関係となります。

冷静に考えると分かりますね。

「小→大」の逆をするんですから、

「大→小」となります。

「大」を返して「小」がお得になる、つまり大きなお金を返済して、小さな利息分がお得になります。繰上げ返済は効果が小さく、金額的にも時間的にも効率が良くありません。

それでも得と考えるか、やっぱり損と捉えるかは人それぞれです。

ではいよいよ解消方法として活用できる投資について解説していきます。

住宅ローンの不安を解消する方法として、新NISAを活用したインデックス投資があります。

インデックス投資信託という商品の1例としては「eMAXIS Slim全世界株式(オールカントリー)(通称「オルカン」)」があります。

分散が効いており、世間でも優良な商品として評価されている1つです。

手続き等の詳しい方法は、以下の記事をご覧ください。

【新NISA】SBI証券と楽天証券の口座開設方法~投資信託のオルカンを購入するまでを簡単解説

住宅ローンとインデックス投資信託は、次のような理由から相性がとても良い組合せと考えています。

  • 低金利の住宅ローンにより余剰資金を貯めやすくなる
  • 投資信託は少額の100円から投資ができる
  • 住宅ローンの低金利 < 投資信託の金利で資産が増えやすい
  • 投資信託は手元資金として、いつでも換金が可能
  • 住宅ローンと投資はお互い相性の良い『長期』の組合せ

変動金利の住宅ローンだけで考えると、とても不安になります。ですが、『住宅ローン+投資』とすることで、住宅ローンが活用され、とても効率の良い資産運用が可能になります。

『時間✕お金』に、さらに『複利』という武器が掛け合わされる

住宅ローンとの組合せとして最適と言える最大の特徴は、

投資運用でプラスとなった利益にかかる税金がゼロ

通常、投資収益には約20%の税金がかかります。たとえば100万円を投資して10万円の利益が出た場合、2万円が税金として差し引かれ、手元に残るのは8万円となります。

しかしNISAを活用すると、

  • 投資収益全額の10万円が手元に残る
  • 非課税でいつでも引出しが可能
  • 税金として引かれるはずだった資金も複利運用

住宅ローンの利息分を補うため、少しでも収益を増やすことが重要で、その役割を果たしてくれます。

詳しくは次のサイトをご覧ください。

インデックス投資である「eMAXIS Slim全世界株式(オルカン)」をおすすめする特徴は、

  • 年率平均リターンは約9%
  • 全世界に分散投資
  • 手数料が業界最安値で長期運用に最適

※9%は過去のデータから算出された数値で常に保証されたリターンではありません。

詳しい説明は下のサイトをご覧ください。

投資にはリスクがつきものですが、この商品はある程度のリスクに対応し、かつミドルリターンを叩き出す優れものです。

100万円を投資すれば、平均して毎年9万円の利益が得られます。(【注意】年率平均リターン9%を適用した場合)

先の住宅ローンの繰上げ返済で説明した、100万円の繰上げ返済によって、25年間で得られるお得金額は13万円でした。

投資信託を2年運用するだけで、この金額を上回ります。

しかも手元には100万円が残ったままです。

注:投資信託は収益がマイナスとなる年もあります。平均はプラスになるということです。

他にもおすすめできる優良商品はいくつか存在しますが、まずはNISAを始めるという方には、最適の商品です。

住宅ローンの変動金利は年に2回金利が見直されますが、返済負担を軽減する5年ルール125%ルールという仕組みがあります。これらは多くの金融機関で採用されている独自のルールです。

【5年ルール】

変動金利が引き上げられた場合でも、毎月の返済額が5年間は固定される。

【125%ルール】

5年ルールで6年目に見直される場合でも、毎月の返済額は上限125%とする(増加分は25%まで)。

これらのルールは全体の返済額が変わる訳ではなく、一部の支払いを遅らせる仕組みです。結局、最終的に支払う額は同じなので、このルールに批判的な意見もあります。

ただこのルールを活用することで、次のような利点が生まれます。

  • 返済額の急激な増加を防げる
  • 計画的な資産運用が可能になる
  • 余裕資金を投資に回せる

個人的には喜ばしいルールと考えています。なぜなら先にも述べた通り、返済が遅れる分、時間✕お金を得られるからです。

これに投資を組合わせることで複利という武器も掛け合わさり、順調に行けば資産増加のスピードが加速します

これらのルールを採用しているかどうかは銀行や金融機関によって違いますので、必要であれば確認してみて下さい。

投資にはリスクがつきもので、冒頭でも説明したようにデメリットが存在します。

投資のデメリット
  • 投資損益がマイナスとなる
  • 金利の方が高くなる
  • 投資利益に課税される
  • 手間がかかる
  • 損益が日々動き、精神上負担

投資を始めるか否かは、メリットがこれらのデメリットを上回るかどうかです。なので、デメリットを少し掘り下げて順に説明します。

投資損益がマイナスとなる

ある年だけに着目すれば損益が大きくマイナスとなる年があります。ただその分、平均を大きく上回る年もあり、過去の実績で見ても年率平均はプラスになっていきます。

大きくマイナスとなったからと慌てずに黙って見過ごせば、再び収益はプラスに戻ります。

金利の方が高くなる

バブル期も含めた過去の住宅ローン変動金利の最高金利は5.092%です。(一般財団法人 住宅金融普及協会 住宅ローンの金利情報)これだけ見ると、インデックス投資の収益で補えるレベルです。

ただし過去がこのレベルだからと言って、今後も変動金利がこれ以上にならないとも言い切れません。

しかし逆に最高金利がずっと続くわけでもなく、一時的な上昇である可能性が高いです。なぜなら高金利は経済に与えるダメージが大きく、長期に放置しておく訳にはいかないからです。

長期では成長し続けている経済に沿って資産形成を行い、一時的に起こる事象については都度対応する方が効率的です。

投資利益に課税される

通常は利益に対して約20%課税されますが、NISAは非課税です。この制度は、複利を活用した長期の資産形成にとても大きな利益をもたらします。

手間がかかる

確かに最初に証券会社を開設するなどの手間がかかります。

ただインデックス投資信託であれば、毎月の積立設定を1度しておくだけです。あとは自動で積立ててくれるので、その後はほったらかしです。

損益が日々動き、精神上負担

慣れるまでは値動きが気になりますが、投資の学びとして重要な期間です。すぐに慣れ、朝起きたらいつのまにかお金が増えています。

住宅ローンの変動金利に対する不安は、決して小さくありません。しかし、その不安を解消する方法は必ずしも固定金利への借り換えや繰り上げ返済だけではありません。

むしろ低金利の住宅ローンはチャンスと捉えることができます。

低金利は資産形成のチャンス

  • ローンは時間✕お金を得られる魔法
  • 長く借りる方がお得という発想の転換
  • 変動金利の上昇はNISAを活用した投資で対応
  • 借り換えや繰り上げ返済より効率的な対策

投資と組み合わせるメリット

  • 手元資金を残しながら資産形成が可能
  • NISAの非課税メリットを最大限活用できる
  • 複利効果を体感できる

実践のポイント

  • 生活環境や将来設計に合わせて選択する
  • 無理のない投資額から始める
  • 長期的な視点で運用を継続する

インデックス投資は長期運用で収益が安定するという点からも、住宅ローンとはとても相性が良い組合せです。

ただ投資の決断は個人の状況や考え方によって異なります。この記事で紹介した方法は、あくまでも選択肢の一つとしてご検討ください。