「投資信託かETFかどっち?」という疑問をよく目にしますが、これには少し誤解があります。
ETFを簡単に説明すると次のようになります。
- ETFは投資信託である
- ほとんどがインデックスファンド
- 上場している
ETFとは「Exchange Traded Fund、上場投資信託」です。
つまり元々、投資信託として証券会社などで購入されていたインデックスファンドが、上場することで証券取引所で売買できるようになったものをETFと呼びます。
ただ上場したからと言って、商品の中身は変わりません。何が変わるのかというと、株式と同じように取引でき、その取引方法や手数料が変わります。
これ以降の説明を理解しやすくするため一旦整理すると、
- ETFの購入方法は、株式と同じで中級者向け
- 比較の対象は、ETF(上場投資信託)と非上場インデックスファンド
ETFは投資信託というグループの中の1つなので、「ETFと投資信託を比較する」というのはおかしな話になります。そのため、ここではETFと非上場インデックスファンドとを比較していきます。
ETFは厳密に言うともっと複雑ですので、もしもう少し詳しく知りたい方は以下のリンクをご参考ください。
これを念頭において、それぞれを比較した表が次になります。
※銀行や郵便局での購入はおすすめしないため、下表では省きます。
項目 | ETF | 非上場 インデックス ファンド |
---|---|---|
上場の有無 | 上場 | 非上場 |
購入場所 | ||
銘柄数 | 国内ETF: 約330本 海外ETF: 約540本 | 約700本 |
約定タイミング | ||
取引価格変動 | リアルタイム | 1日1回 |
最低購入金額 | ||
発注方法 | ||
分配金受取り | ||
分配金再投資 | ||
積立設定 | ||
信託報酬 | ||
その他手数料 | 要 | 要 |
それでは詳しく解説していきます。
そもそもETFとは投資信託
先にも説明しましたが、そもそもETFとは投資信託です。
投資信託は、アクティブファンドとインデックスファンドに大別されます。そのインデックスファンドのうち、上場している商品をETF(Exchange Traded Fund、上場投資信託)と言います。(※最近ではアクティブファンドのETFも出始めていますが、ここでは省略します)
よく「投資信託とETFはどっちが良い?」という問いを目にしますが、そこで言う『投資信託』は非上場インデックスファンドを意味しているはずです。
なので非上場インデックス投資信託とETF(上場投資信託)を比較し、違いを説明していきます。

上場してるって、どういこと?

上場しているとは、証券取引所で
取引できることを指します。
上場とは、簡単に言えば商品として信用を得た証です。その証として、証券取引所で取引させてもらえる権利が与えられます。
ETFとなっても商品の運用方法などの中身は変わらず、株式と同じく取引できるようになったということだけです。
では、その違いを具体的に説明していきます。
上場と非上場の違いを比較
ETFも非上場インデックスファンドも銘柄数が豊富で、双方に似た商品が存在します。
なので商品としての違いではなく、ETFと非上場インデックスファンドの違いは上場しているか否かで違ってきます。
以下は、冒頭の表にある項目に沿って違いを解説していきます。
上場の有無
投資信託のうち、上場しているものがETFです。
購入場所・銘柄数
非上場インデックスファンドは、証券会社で必ず取扱われているとは限りません。
話題の投資信託でも、ある証券会社では購入できるけど、こっちの証券会社では購入できないということがあります。
一方、ETFであれば基本、どこの証券会社を通してでも購入できます。
銘柄数についてはどちらも種類が豊富なため、気にする必要はありません。
冒頭にある表中の銘柄数は、日々増減しますので、比較のための参考値程度と捉えて下さい。
参考として、日本国内で扱われているETFの銘柄一覧は以下のリンクからどうぞ。
約定タイミングと価格変動
非上場インデックスファンドは、ほぼ24時間いつでも注文が出せます。
ただ実際に売買が成立するのは1日1回です。
国内商品は15時までなら当日約定しますが、15時を過ぎると翌営業日となり、約定日の基準価格で取引されます。
海外商品は翌営業日以降が約定日で、同じように注文日ではなく、約定した日の基準価格で取引されます。
一方、ETFは証券取引所が開いている時間であれば、いつでもリアルタイムに注文/売買が可能です。
ただし日本や米国市場など国によって、市場が開いている時間は異なります。
最低購入金額
非上場インデックスファンドは、証券会社にもよりますが100円から購入が可能です。
一方 ETFは、購入単位が1株(1口)で、非上場インデックスファンドほど低価格ではなく、1口数千円~数万円単位となります。
発注方法
非上場インデックスファンドは、その日の基準価格を参考に買うか売るかを注文するだけで、購入するタイミングや基準価格の指定はできません。
ETFでは、株式と同じように成行(なりゆき)/指値(さしね)などの注文が可能です。
分配金の扱い
非上場インデックスファンドは分配金再投資の設定が標で提供されていることが多く、ファンド内部で分配金を自動で再投資してくれます。
この「分配金再投資」では、分配金を出金しないため税金が引かれません。税金として引かれなかった分も再投資されるため、複利効果で利益が増えるスピードが加速します。
現金で受け取りを選べるものもありますが、ETFに比べて選択肢は少ない傾向です。
一方、ETFでは分配金を定期的に現金で受け取る形式が主流です。これにより臨時収入として生活費を補うことができます。
ただし分配金で再投資を目的とする場合は、受け取った分配金は課税され、さらに購入には手数料と手間がかかるので注意が必要です。
また自動再投資を選べるETFもありますが、一般的には現金受取り型が主流で再投資型は少数派です。
積立設定
非上場インデックスファンドでは基本的に積立設定という機能があるため、決まった金額を毎月や毎日など自動で購入できます。
一度設定してしまえば、以降は『ほったらかし』で運用してくれます。
ETFも積立設定による購入が可能です。ただし、設定を扱う証券会社が限られているため、事前に確認が必要です。
信託報酬
ETFも含め投資信託であれば必ず発生する費用です。
ただ非上場インデックスファンドでは0.1~3%、ETFでは0.03~0.2%と、似た商品を比較してもETFの方がかなり安くなっています。
理由として、ETFは証券会社に手数料が支払われないため、その分が安くなっています。
購入手数料やその他
基本的には、非上場インデックスファンドでもETFでも購入/解約手数料がかかります。
ただし非上場インデックスファンドでは、ノーロード(購入手数料が無料)など手数料無料の商品が増えてきています。
ETFは株式取引と同じように手数料がかかりますが、こちらも証券会社によって手数料無料が増えてきています。
なので信託報酬以外の手数料は、あまり比較して気にすることはありません。
どちらを買えばいい
非上場インデックスファンドとETFでよく聞く悩みとして、どちらを買ったら良いかというのがあります。
両者を比較して、一方だけにあるメリットを挙げると、次のようになります。
- 最低購入金額が100円
- 自動の分配金再投資が標準
- 自動での積立購入が標準
- リアルタイムの売買が可能
- 成行/指値注文ができる
- 分配金が受け取りが主流
- 信託報酬が安い
両者の違いによるメリットだけを挙げると、両者の特徴がはっきりします。
その違いは明白で、非上場インデックスファンドは投資初級者向き、ETFは中級者向きです。
どちらを買えば良いか悩んでいる方には、『非上場インデックスファンド』です。
非上場インデックスファンドであれば、100円から投資でき、運用もほぼ自動だからです。
ETFを購入するのは、どんな人
ETFは投資中級者向きとお話しましたが、結局、次のようなことを求めている方におすすめです。
- ETFでしか買えない商品がある
- 少しでもリターンを増やすため、リアルタイムで売買したい
- 似た商品でも分配金(インカムゲイン)が欲しい
- とにかく信託報酬を安くしたい
手間のかかるETFを購入している方はとても多く、その主な理由は、海外の優良なインデックスファンドを購入したいためと思われます。
ETFと非上場インデックスフファンドは互いに似た商品があると説明しましたが、特に米国では互いの種類が豊富です。
そのため日本の証券会社ではまだ扱っていない商品も多く、ETFでしか購入できない商品がたくさん存在します。つまりETFであれば、更に細かく自分好みの商品を選ぶことができます。
あと別の目的として有効なのが、個別株を購入する前の取引の練習としてETF投資をする方法です。
上場しており、株式と同じ取扱いであるため、次のような総合的な理由で、練習用として活用できます。
- リアルタイムで取引できる
- 成行/指値での注文
- 分散された商品のため安心感がある
- 少ない知識で日本株だけでなく、米国株にもチャレンジしやすい
個別株に特有なリスクや下調べの時間を最小限に抑えて、実践を経験できます。
まとめ
非上場インデックスファンドとETFとの主な違いは、単に上場しているかそうでないかの違いです。ただし、この違いによって取引が少し複雑になっています。
そのため、非上場インデックスファンドは初級者向け、ETFは中級者向けとなります。ただ、どちらの商品も分散投資がされリスクも抑えられているので、そこまで明確に分ける必要はありません。
また本格的に個別株投資を行う前の練習という活用方法もあります。ETFにチャレンジして投資の知識や取引方法を学ぶというのも1つの選択肢です。
逆に、そういう時間がない人や、面倒と考える人は、非上場インデックスファンドが最適となるでしょう。
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